カマツカ 違い知る楽しさ みなくち子どもの森

カマツカ 違い知る楽しさ
 みなくち子どもの森は、甲賀市(旧水口町)が2001年に、水口町北内貴の里山をそのまま活かし、甲賀の自然をテーマにした博物館「自然館」と甲賀の代表的な自然が見られる里山を併設し設立した公園です。約25haと広大な園内では、四季折々の生き物や風景が観察・体験ができます。また、自然館では、約230万年前の太古の森や、現在の森の四季などのジオラマを使った展示、化石・岩石・動植物の標本、魚などの生体を展示して、甲賀の自然を主に紹介しています。2024年3月18日には、みなくち子どもの森が環境大臣より自然共生サイトに認定されるなど、開園以来生物多様性の保全にも取り組んでいます。
 当館では、2025年の1月ごろから生体展示にも力を入れ始めています。現在、魚をはじめとした約30種を展示・飼育し、基本的には甲賀市内や滋賀県内で川や森に足を運べば見ることができるいわゆる「普通種」を中心に展示しています。普通種と言っても、現代では安全面からか川や森に足を運ぶ機会が減っていることから、一般の方からすると普段見ることができない生き物かもしれません。そのような生き物の中から、一度は見ていただきたい「カマツカ」の仲間達をご紹介します。
 カマツカの仲間は、県内の河川に幅広く生息しています。砂の中に身を隠すことが多く、底質が細かい砂の場所を好みます。時には砂にもぐらず、じっと身を伏せていたり、群れになって泳ぎ回っていたりすることもあります。ヒゲをなびかせ水流に向かって泳ぐ姿は龍のようにも見えます。市内では、カマツカの仲間は「カマツカ」と「ナガレカマツカ」の2種が生息しています。見分けるポイントは、ヒゲの長さ、口先(吻)、唇(口唇)の3点が主に挙げられます。「カマツカ」はヒゲが短く、口先は長くとがり、唇は短く乳頭状の突起が少ないことが特徴として挙げられます。反対に「ナガレカマツカ」は、ひげが長く、口先は丸みがあり、唇は長く乳頭状の突起が多いことが特徴として挙げられます。もし、県内でカマツカを見る機会がある時は、これらの特徴から見分けてみてください。

 また、カマツカは食べたらおいしい魚と言われています。筆者自身は食べたことはありませんが、知り合いの方から、「素揚げがおいしい」「煮つけや白焼がいい」という声をよく聞きます。実際に昔は日本各地で食べられていたようで、インターネットで検索してみるとカマツカ料理を掲載したWebサイトがいくつか表示されます。そのため、カマツカはただの川魚ではなく、食文化の一つとして人と関わりがある生き物でもあります。
当館では、カマツカの仲間は2種ともに、ひとつの水槽で混泳展示を行っています。水の中で優雅に暮らす姿をご覧にいただき、それぞれの違いを比較しながら、カマツカの魅力を見つけてみてください。

みなくち子どもの森自然館 学芸員・安在森祐

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