A タイトル 講演会「災害時の博物館資料救済ネットワーク」レポート
B 講師 御巫(みかなぎ) 由紀氏(千葉県立中央博物館)
C 日時 令和7年(2025)1月23日(木) 14:00~16:30
D 会場 彦根城博物館 講堂
E 参加人数 23名(16館/事務局・研修委員含む
F 概要
2024年も自然災害が多発しました。年始には能登半島地震が発生し、8月には南海トラフ地震臨時情報が発表され、さらに9月には豪雨に見舞われました。このような状況を受け、滋賀県内の博物館においても大規模災害への備えが急務となっています。
本講演では、千葉県博物館協会の御巫由紀氏を講師としてお招きし、同協会の取り組みについてご解説いただきました。千葉県博物館協会(64館加盟)は平成21年に文化財救済ネットワークを設立し、東日本大震災での経験を活かして、博物館資料に特化した実効性の高い体制へと再構築を進めてきました。
講演では、県内を9つの地域ブロックに分割し、各ブロックに中核館を配置、センター館(千葉県立中央博物館)が全体を統括するネットワークシステムについて説明がありました。平常時には連絡網の整備や情報共有、訓練を実施し、災害時には相互救援体制で対応するとのことです。このネットワークの主な取り組みは、①基礎データの整備、②情報伝達訓練の実施、③救援要請システムの確立です。有事の際には、被災状況に応じて対策本部を設置し、資料の搬出、修復、保管、返却という4段階で救済活動を展開します。また、ネットワークを効果的に運営するには、「相互救済」の意識と日常的な博物館間の連携が重要であることも強調されました。
本研修は、千葉県博物館協会の先進的な取り組みを学び、滋賀県における博物館資料救援体制構築への重要な一歩となりました。
講演会「災害時の博物館資料救済ネットワーク」レポート