令和元年度滋賀県博物館協議会 第2回情報交換会「“博物館×X”博物館の可能性~高齢者福祉編~」報告

令和元年度滋賀県博物館協議会 第2回情報交換会「“博物館×X”博物館の可能性~高齢者福祉編~」報告

A.タイトル:「“博物館×X”博物館の可能性~高齢者福祉編~」
B.講師:竜王真紀氏(山内エコクラブ代表・甲賀市保健師)
     堀井誠氏(グループホームかふかの里主任)
     井阪尚司氏(山内エコクラブ)
C.日時:令和2年2月9日(日) 13:30~16:00
D.会場:水口社会福祉センター福祉ホール
E.参加者:44名
F.概要
 地域の博物館や美術館は資料の収集・保存・展示のみならず、地域的課題の解決と地域活性化への貢献が求められています。しかし、現状は人手不足や収蔵庫の飽和、来館者の減少などで課題を抱えており、これからは様々な分野と連携することで新しい博物館の可能性を考えていく必要があります。
 また、地域社会においては、少子高齢化の加速により、地域住民もコミュニティの維持ができず、地域への自信と誇りを失いかけている現状があり、高齢者福祉のあり方も大きく変化してきています。
 今回は、地域の博物館と高齢者福祉に焦点を当て、それぞれの課題を共有しながら新しい分野に「つながる」機会となることを目的に開催されました。
 まず初めに、土山歴史民俗資料館の駒井氏から資料館の危機を脱する博物館の新しい活用方法として、市民団体などと協働で取り組まれた「地域回想法」の事例を報告していただきました。
 回想法とは、高齢者や認知症の方を対象とした非薬物療法の一種で、懐かしいものや映像などを見て思い出を語り合うことで五感を刺激し、脳の活性化や心の安定をもたらす効果が期待されています。中でも、「民具を活用した地域回想法」は、博物館の資料を有効活用することができる上、世代間の交流や地域のコミュニティづくりの活性化にもつながるとのことです。
 講演会では山内エコクラブ代表の竜王氏から回想法を実践する上での手順や留意点などを、また、グループホームかふかの里主任の堀井氏からは、地域に暮らす高齢者の生活歴を理解することが職員の教育や利用者家族とのコミュニケーションにも有効なツールであることを実体験を踏まえながらお話しくださいました。
 講演会の後は、山内エコクラブの井阪氏に進行役をお願いし、博物館と福祉がそれぞれの強みを生かして連携できることをテーマにグループワークを実施いたしました。
異業種の参加者同士が協力することで、異なる視点の発想や多様性を感じ、とても刺激を受けました。
 今回の情報交換会を通して、新しい可能性を生み出すことは、どんな小さなことでもいいのでまずは地域に目を向け、人と人が出会い、理解し合い、つながる機会を作ること、情報発信することが大事であると共有しました。
 新たな挑戦には不安がつきまとうものですが、地域の文化や貴重な文化財を次世代に残していくためにも、一歩踏み出し、様々な分野の人たちと協力することで広がる可能性は無限大にあると感じました。

ヤンマーミュージアム 沓水千佳

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