滋賀県博物館協議会 実技講習会「資料(仏像)の取り扱いおよび梱包について」報告

滋賀県博物館協議会 平成30年度第2回研修事業
実技講習会「資料(仏像)の取り扱いおよび梱包について」

A.タイトル:「資料(仏像)の取り扱いおよび梱包について」
B.講師:寺島典人氏(大津市歴史博物館学芸員) ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社
B.日時:平成31年3月14日(木) 13:30〜16:40
C.会場:大津市歴史博物館
D.参加者:17館22名
E.概要:
 博物館・美術館の学芸員にとって、資料(作品)を安全に取り扱う技術は、最も基本的で必要不可欠なスキルだといえます。滋賀県博物館協議会では、種類や形・素材など、多種多様にわたる資料の取り扱いについての理解や習熟のため、実技講習会を定期的に開催しています。今回は、加盟館からの希望が多かった仏像について、取り扱いおよび梱包に関する実技講習会を実施しました。
 当日は、大津市歴史博物館の寺島典人さんから、仏像の基本的な構造や取り扱いについての注意点の解説や、坐像や立像などの仏像にあわせた梱包の実演が行なわれました。講義では、担架や段ボールなど梱包材にあわせた包み方や、緊急時の移動を想定した梱包方法など、実践的な視点でお話しいただきました。
 後半は、ヤマトグローバルロジスティクスジャパンの小林謙治さんと小川健史さんから、美術品輸送専門業者の視点で、仏像(立像)の梱包実演を交えながら、取り扱いに必要な注意点や方法を詳細に解説していただきました。また、頭部や手の仏像サンプルを使用し、参加者による梱包の実技講習も行ないました。
 仏像は、取り扱いに繊細な注意が必要な資料であるため、展覧会等で取り扱う博物館・美術館も限られていることと思います。一方で、仏像は調査や災害時への対応等、取り扱う機会が全くない資料というわけでもありません。講師の寺島氏は、仏像の展示への活用について、取り扱いの大変さから「自信がない場合はやめておいた方が良いが、出来るようになると展示の幅が広がります」と述べられていました。短時間の講習ではありましたが、仏像の取り扱いや梱包に関する理解が得られた実技講習会でした。

〔博物館協議会広報委員 木津勝(大津市歴史博物館)〕

 

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