紫式部が生きた平安時代は、藤原道長(966~1027)に代表される摂関家が栄華を誇っていた一方で、天災や戦乱、飢饉、疫病が流行しました。そのため、人々は現世利益を求めて観音巡礼を行い、また、末法思想の広まりから浄土信仰へと傾倒していく時代でもありました。
本展示では、石山寺に伝わる紫式部聖像と、紫式部が仕えた藤原道長、彰子(上東門院、988~1074)親子によって制作された埋経の遺品を一堂に展示します。それらと共に、同時代に制作された仏教美術を展示し、紫式部が生きた時代の仏教文化を紹介します。