職人の誇り感じる逸品 かわらミュージアム

江戸時代後期の技術、豊かな発想…
 かわらミュージアムは、敷地・建物全体が展示物といえる瓦づくしの建物です。八幡堀の水面に映る姿が美しく、国が選定した「重要伝統的建造物群保存地区」の一角にあります。2万4000枚の屋根瓦を用い、周辺の古い町並みの景観に合うように工夫しています。

 地場産業として江戸時代より八幡堀沿いに栄えた「八幡瓦」の技術や伝統を後世に伝えるため、八幡瓦の開祖といわれる寺本仁兵衛(てらもとにへい)家の瓦工場跡に建てられ、四季折々の植物も楽しめる全国でも珍しい瓦の風情ある資料館です。

 館内の展示物は、江戸時代から明治・昭和の時代に受け継がれ、人々が願いを瓦に託した歴史・伝統技術とその時代の情景を描いた作品などを見て楽しんでいただけるよう、さまざまな特徴を備えています。是非ご覧いただきたいイチ押しの作品をいくつかご紹介させていただきます。

 まず、なんと言っても瓦屋根に託された魔よけ・邪気払いの棟飾(むねかざり)瓦の鍾馗(しょうき)さんです。この作品は、江戸後期の文政11(1828)年に作られました。多くの素晴らしい作品を残した寺本仁兵衛兼武(かねたけ)の作で、繊細な彫りに金を施し、当時の瓦職人の技術の高さを見ることができます。

 棟飾瓦や鬼瓦も時代と共に変化し、隣の家に強面の鬼の顔や龍を向けるのは申し訳ないと、子孫繁栄の桃や大黒さん、福助さんなどが作られました。工房により、そのモチーフも個性あふれるものが取り入れられたようです。屋根の上でよく見えないところにも工夫を凝らし、芸術性の高い作品を作ってきた職人の誇りを感じる逸品の数々を展示しています。

 続いて、その時代の情景を描いた作品から大相撲の鬼瓦、天保5(1834)年、寺本仁兵衛美邦(よしくに)の作です。鬼瓦に描かれている阿武松(おうのまつ)と稲妻(いなづま)との横綱同士の取り組みは注目の的であったと記録され、当時の人気力士であったことが伺えます。

 瓦師、寺本仁兵衛美邦は、芸術的にも優れた作品を多く作っています。この鬼瓦も力士の強さを見事に描いており、彩色が施された非常に珍しい作品です。江戸時代を生きた人たちと、私たちが見る大相撲のヒーローたちをラップしてご覧いただいてはいかがでしょうか。

 かわらミュージアムには体験工房もあります。瓦づくり職人の技術をご覧いただき、皆さんが瓦師になったつもりで、瓦の粘土で鬼面やふくろうなど、さまざまな創作作品を作ってみてください。

 ご来館の際には、是非とも鬼瓦や瓦飾り、瓦人形をご覧いただき、江戸時代後期の瓦職人の思いやその技術の高さ、デザイン、発想の豊かさを感じていただければ幸いです。

<かわらミュージアム館長・田島仁>

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